インタビュー #キャリアアップ支援

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自分のご機嫌は自分でとる

株式会社プロデュース 統括事業部長
お里の家きらめき本城 管理者

園川 輝美さん

どんなお仕事をしていますか?

弊社は、認知症に特化した介護事業として、グループホームやデイサービスの運営を行っています。私は、事業所の一つを管理者としてマネジメントしている他、統括事業部長として各事業所の管理者育成など担当しており、管理者の相談に乗りながら、事業所運営が円滑にいくようサポートをしています。
また、入社間もないスタッフのフォローアップや各事業所のリーダーを集めた研修会でのレクチャーなど人財育成に関する業務や、プロジェクト的な業務も担当しています。例えば、「きらめきっちん」というプロジェクトでは、普段は事業所によって食事の出し方が違うのですが、各事業所の調理スタッフが集まり、月に1回は全事業所で同じ食事で笑顔を作ろうと取り組んでいます。見る楽しみや食べる楽しみを作ることはもちろん、調理スタッフにも光をあてて、一体感を作りたいということで半年前から行っています。
ある程度の仕組みができて円滑に回るようになれば、他の人に任せて次のプロジェクトを考えるようにしています。もともと仕組みを作ることが好きで趣味でやっているところもあります。

これまでのキャリアヒストリーを教えてください。

今、入社して6年、7年目に入ったところです。以前スポーツクラブで働いていた時に介護に興味を持ち、介護職に転職しました。
そのスポーツクラブのオープンスタッフとして働いていたのですが、日中はご年配のお客様がほとんどで、元気なシニアの方の健康施設みたいな雰囲気でした。オープンから5年位経つとみなさん更にお年を召してきて、プールに紙パンツのまま入る方やお風呂で便をされる方もいました。ある時、警察からその便をしていたお婆さんが保護されて、「そこの会員証を持っているが、帰り道が分からないと言っている」と電話があり、迎えに行き家まで送りました。手を繋いで歩きながら「人はこうやってもの忘れが進んでいくんだ」とすごくショックを受けました。
そのお婆さんと、紙パンツでプールに入ってしまったお爺さんには、家族が一緒に来ない限りは退会してもらうしかなく、自分がフロントの責任者だったこともあって、ご利用が厳しいことを伝えました。お爺さんの奥様からは、「夫の一番の楽しみはここのプールだったのに、どうしたらいいの」と泣かれ、とてもショックでしたし何か悪いことをしているような気持ちになりました。
その時に、「何で人は認知症になるのかな」と、認知症という病気に興味を持ち、ヘルパーの資格を取りに行きました。実習で介護施設に行った際、退会していただいたお爺さんに似ている方もいて、「スポーツクラブにはいいスタッフがたくさんいるから、しっかりしている人はそこにいればいいけど、もの忘れが始まった人は私がみる」というような使命感がパッと湧き、介護の仕事をしてみようと転職しました。そこから今がスタートしたんです。
これまでのキャリアという意味では、スポーツクラブのフロントスタッフは、企画や会員様、人の管理など、内側、裏方の仕事が主なので、今のマネジメントや仕組みを作ることの仕事は、そこでの自分のキャリアが役に立っていると感じています。

入社7年目で早くもご活躍されている秘訣はなんでしょうか?

私は最初から管理職として働いているため、社長と接する時間や一緒に勉強をする機会が多く、得意なことや苦手なことなど、社長が私の背景をよく見てくださっていたというのが大きいと思います。やってみたいことにチャレンジする機会も惜しみなくくださるので、自分の力を発揮できているんだと思います。
そもそも社内全体で、「こんなのやってみない?」、「これ勉強してみない?」というようなチャンスや、自分がやりたいことを言える機会が多く、スタッフの意識も年々高まってきているように感じています。例えば子育て中の方が集まり、「ママパパスタディ」という勉強会をやっていて、改善点や新しいアイデアなどを出してもらうのですが、そういった意見を吸い上げて仕組みを作っていくので、スタッフも自分たちの意見が通ることでモチベーションが上がりますし、やりがいもあると思います。それで頑張って働いていこうと思ってもらえたらよいなと思っています。

これまでの仕事できつかった経験はありますか?

実は、一度だけ退職を考えたことがあります。子育てとの両立というところで、息子の心の状態が不安定で不登校になり、心配事が増えて、その時期に働くには時間が足りず、管理者としての責任を全うできないのは申し訳ないとも思い、辞めようかと思いました。この時期はきつかったです。
今は、スタッフから退職したいと言われるのが一番つらいです。いくら私が良い会社と思っていても、皆が同じように思うわけではなく、仕事が合わない方もいるので仕方ないのですが、気持ちを汲んだり、うまくサポートできなかったり、タイミングが合わなかったりして辞めることになってしまった方に対しては、平気そうな顔をして、「そうだよね、辞めたいよね、大丈夫だよ」など言っていますが、本当は申し訳なく、もう少しうまくサポートできたらよかったなと心苦しくなります。

管理職になって変わったことはありますか?

人の話をしっかり「聴く」ようになりました。意識をしているところもありますし、プライベートなことを相談してくださる方もいて、「聞く」という機会が多いから当然というのもありますが、人の考えを否定していたつもりはなかったんですが、否定的に決めつけてしまっていたところもあったかなと思うので、話はよく「聴く」ようにしています。

管理職としてのやりがい、醍醐味を聞かせてください。

ご利用者様やご家族の方に「ありがとう」と言われると嬉しいですし、これまでは、自分の事業所の業績など、はっきり目に見える成果が上がったら嬉しいなと思っていました。
ですが、それももちろん嬉しいですが、そこじゃないなと最近すごく感じるようになってきました。今一番嬉しいのは、スタッフがやりがいを持って取り組んでいる姿や前向きに成長している姿を見ること、スタッフから「自分の成長を感じられるようになりました」、「本当にこの職場で働いて良かった」と言われることです。
もともと世話好き、お節介なところがありますが、この会社に入って、思っていた以上に人が好き、人が喜ぶ顔を見るのが好きなんだということに気が付きました。仕組みを作ることなど自分が得意なことで、皆が働きやすくなって、仕事を楽しめるようになっていくのが嬉しいです。どちらかと言うと表に立って旗を振るというよりも、支えて皆が輝いてほしいという気持ちが強いように思います。

管理職として心がけていることはありますか?

「自分のご機嫌を自分で取る」ということを一番心がけています。この言葉は研修で習ったのですが、すごく深い言葉だと思い、一生かけてでもそうありたいなと思っています。
言われたから仕方なくやったのにとか、周りが動かないからうまくいかないんだとか、そういう視点になりがちじゃないですか。今日は天気が悪いからとか、今朝うまくいかなかったからとか。人間なので、当然イライラしたり、嫌な気持ちになる時もありますが、人財育成をする立場としても、人のせいや物のせいにするのではなく、少し視点を変えて、自分で自分の機嫌を取って、なるべく心地よい状態でいられるようにしたいなと思っています。
というのも、仕事中、認知症の方から暴言を吐かれたり叩かれたりすることもありますし、言いたいことを結構ハッキリ告げてくるスタッフもいます。ですが、その人が怒っている背景には、家で何かあったとか体調が悪いとか、本当はしてほしいことがあるのに、それがうまく言えず怒ったような言い方になっているとか、もしかしたら何か事情や理由があるのかなと考えることで、自分の感情も整理できるような気がします。
弊社には100人弱のスタッフがいますし、ご利用者様のご家族や担当のケアマネジャーさんなど関わる方も多く、さまざまな方と会話をする機会が多々あり、人の感情に触れることがものすごく多いです。全部受け入れてばかりいると苦しいし、負の感情に振り回されたり引きずられないようにという意味でも、自分の機嫌は自分で取ることが大事だとも思っています。
自分の心が曇った時に、「ちょっと自分の機嫌が悪くなってきたから、自分で機嫌を取ろう」と思うだけでも少し違うと思いますし、できていない時もありますが、なるべくそんな風にならないようにと意識をしています。そして相手の心が曇り不安な時、「何か分からないけど、園川さんがいたら安心する」というような人でありたいです。

後輩女性へのメッセージ・アドバイスをお願いします。

管理職というと、「大変」というイメージがどうしても強いと思うのですが、大変な思いをする以上に、何十倍もの喜びがあると思っているので、まずは今すでに管理職の方には、「管理職大変だよ」と大変なことばかり言わず、管理職としての喜びも部下にはたくさん伝えてほしいなと思います。また、後輩女性たちには、ぜひ管理職として働く喜びやメリットについて、自分から聞いてほしいと思います。
男性に負けないとか、誰より強いとか偉いとかではなく、得意なことやできることはそれぞれ違うので、自分が一番得意なことを見つけられたらいいんじゃないかなと思っています。人に負けないように頑張ったり、何もかもできるようになるより、自分が得意なことを極めて発揮できるようになれば、それがまた自信に繋がると思います。ぜひ自分の好きなことを仕事で得意なことにして活用されてください。

趣味・健康管理・ストレス解消法など

人に接することが多い仕事ですが、実は1人で過ごす時間が好きです。アウトドアも好きで、道具を揃えているのでキャンプに行くこともありますが、1番リラックスできるのは、自分の好きなことをして1人の時間をゆっくりと過ごすことで、1人で料理を作ったり筆文字を書いたりして過ごす時間が大好きです。

(2020.12.16)